指は、手や腕の筋肉の先にある『腱』と呼ばれるヒモによって動かすことができます。
その手のひら側の腱が浮き上がらないように包み込むトンネルを靱帯性腱鞘と呼びます。
この腱鞘部分で腱(屈筋腱)がスムーズに通らなくなり、指の付け根の手のひら側の狭窄性腱鞘炎を起こした状態を『ばね指』と呼びます。
ばね指はすべての指に発生しますが、親指と中指に多くみられ、次いで薬指に多くみられます。人指し指や小指に発生するのは比較的に少ないです。
ばね指の主な原因は、指の使いすぎです。
指を酷使することにより、腱が腱鞘のトンネルを通る部分に機械的な刺激が加わり、腱や腱鞘が腫れます。そのことにより腱が腱鞘のトンネルをスムーズに通らなくなり、さらに刺激が加わり炎症を起こします。
・仕事で指を酷使する方
(パソコン、草取りなど)
・スポーツ活動で指を強く握る方
(ゴルフ、野球、テニスなど)
・趣味で指を酷使する方
(手芸、編み物、裁縫、スマホ、ゲームなど)
・40~50歳の女性の方
・出産後や妊娠中の方
・筋力低下している方
・基礎疾患をお持ちの方
(糖尿病・リウマチなど)
・透析中の方
その他
指を曲げ伸ばしするときに途中で動かなくなり、無理やり動かそうとすると急に指が動く『弾発現象』と呼ばれる現象がみられます。
また、手のひらの指の付け根の部分に痛みがあり、腫れや熱感、押した時の痛みもあります。とくに朝方に症状を強く訴える方が多くみられます。
初期には、ひっかかり感や違和感、軽度の痛みだけで日常生活に支障がないこともありますが、症状が進行すると指が全く動かせなくなり日常生活に大きく支障をきたすこともあります。
ばね指の治療は、まず保存療法がおこなわれます。
保存療法は、患部の安静を保つためにシーネやサポーター、テーピングなどで固定します。
同時に、症状にあわせて物理療法、手技療法などの指がスムーズに動くためのリハビリをおこないます。
病院などの医療機関では、腱鞘内ステロイド注射や消炎鎮痛剤の湿布などの薬物療法がおこなわれ、保存療法にて改善がみられない場合や再発を繰り返す場合は、腱鞘を切開する手術がおこなわれることもあります。
ばね指は、再発することが少なくないため、関連する筋肉のストレッチや運動療法、日常生活動作の改善などの再発予防することが大切です。
自己流の誤った方法でマッサージや運動をしてしまうと、腫れやシコリが大きくなり、症状を悪化させてしまうこともありますので専門の医療機関にて指導をうけることをお勧めします。
痛みは少ないですが、1~2歳の小児にばね指が発生することがあります。
親指が曲がったまま伸びないことや親指の付け根にシコリがあることに、親が気付いて来院されます。
先天的に腱鞘部分が狭いことや腱の太くなっていることが原因で、ほとんどが親指に発生します。
腱の活動性が強く制限され、親指が曲がったまま伸びない状態のものは『強剛母指(強直母指)』と呼ばれます。
シーネや装具による固定、運動療法、運動指導などにより5~7歳までに治癒しますが、改善がみられない場合は腱鞘を切開する手術がおこなわれることもあります。