肩の関節は、手の働きを高めるため、他の関節にくらべて自由な方向に動かすことが可能であり、動かせる範囲も最も大きい関節となっています。しかし、上腕骨の関節面である関節頭に対して、肩甲骨の関節面である関節窩が浅く、約30%しか被われていないため、他の部分は肩甲上腕靭帯、腱板、関節唇などにより補強されています。
そのため、その安定機構は強靭なものではなく複雑で障害されやすい構造となっています。
特に腱板部分は、加齢や運動不足などにより弱くなりやすく、肩の痛みの多くはここに集中しています。
また、外力を受けやすい部分にあるため脱臼などのケガも多い関節です。
肩を構成する骨
肩は、上腕骨・肩甲骨・鎖骨の3つの骨により構成されており、3つの解剖学的関節(肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節)と2つの機能的関節(肩峰下関節・肩甲胸郭関節)により関節しています。この5つの関節が組み合わさって動くことで、正常な働きをしています。
腱板とは?
腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の腱の集まったもので、ワイシャツの袖のような形状をして上腕骨頭を取り巻いているためローテーターカフとも呼ばれています。
腱板は肩を安定させて動かすために重要な役割をはたしていますが、肩甲骨と上腕骨の間の狭い部分を走行しているため両者に挟み込まれるやすい構造となっています。
そのため、加齢性変化などで変性が生じると炎症や損傷が生じやすくなります。
○五十肩
○石灰沈着性腱板炎
○腱板損傷
○腱板疎部損傷
○肩関節脱臼
○肩鎖関節脱臼
○インピンジメント症候群
○上腕二頭筋長頭腱断裂・炎症
○変形性肩関節症
○変形性肩鎖関節症
○胸郭出口症候群
○複合性局所疼痛症候群(CRPS)
○絞扼性神経障害など
○リトルリーグショルダー
(リトルリーグ肩)
(野球肩・上腕骨近位骨端線離解)
○ベネット損傷(Bennett lesion)
(肩甲骨関節窩後下方骨棘形成)
○絞扼性神経障害
(腋窩神経障害・肩甲上腕神経障害・長胸神経障害)
○スラップ損傷(SLAP病変)
(肩関節窩上関節唇複合損傷)
○上腕二頭筋長頭腱炎・脱臼
○腱板損傷
○インピンジメント症候群
○肩関節脱臼・亜脱臼
○肩峰下滑液包炎など