腰は、肉づきに要と書くように体の重要な部位です。
体の運動や支持、背骨の中を走る神経の保護などの役割をはたしています。
しかし、本来4本足の動物が2本足で立つようになった為、腰部の関節や筋肉、椎間板などに無理な負荷がかかりやすく腰痛の原因になることが多くなっています。
また、一口に『腰痛』といっても、体性痛とよばれる筋肉、骨などが原因のもの、根性痛と呼ばれる神経が原因のもの、内臓に原因があるもの、更にレントゲンなどの検査でも原因が判明しないものなど様々な疾患がありますので、それぞれの疾患に応じた治療が必要です。
腰の構造
背骨は横から見ると、S字のカーブを描いており、腰の部分は5つの骨(腰椎)が緩やかに前弯しています。
その骨と骨の間には『椎間板』と呼ばれるクッションがあり衝撃やわらげる働きをしています。また、背骨の中には『脊柱管』と呼ばれる空間があり脳からの信号を伝える神経が走っています。
腰椎部はその上の胸椎部と違い肋骨などによる固定がなく、胴体の運動の大部分が腰で行われます。
同時に上半身を支えなければならない為、日常生活において常に負荷が加わることになります。
その為、子供から高齢者まで様々な障害が起こりやすいです。
注意する症状
(赤旗徴候red flags)
○1ヶ月以上続く腰痛
○夜間や安静にしている時の腰痛
○50歳以上の腰痛
○70歳以上の腰痛
○癌の既往がある方の腰痛
○体重の減少を伴う腰痛
○明らかなケガによる腰痛
○細菌感染の疑いのある腰痛
○膀胱や直腸の症状を伴う腰痛
○ステロイドを使用している方の腰痛など
腰痛の種類
①頻度の高い腰痛
椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄症
分離症・すべり症
圧迫骨折(骨粗鬆症)など
②頻度の低い腰痛
転位性脊椎腫瘍
黄色靭帯骨化症
心因性腰痛
脊髄腫瘍・馬尾腫瘍など
③稀な腰痛
結核性脊椎炎・化膿性脊椎炎
強直性脊髄炎
仙腸関節炎
ページェット病(Paget病)
シェイエルマン(Scheuermann病)
原発性脊髄腫瘍など
④脊椎以外に原因がある腰痛
泌尿器疾患(結石・腫瘍など)
婦人科疾患(子宮疾患・卵巣疾患など)
消化器疾患(胃疾患・腸疾患・膵臓疾患など)
循環器疾患(大動脈瘤・大動脈血栓症など)
⑤その他
腰痛症
変形性脊椎症
姿勢性腰痛
筋・筋膜性腰痛
骨粗鬆症
椎間関節症候群
棘間靭帯損傷
仙骨神経根嚢腫
神経根形成異常
緊張性終糸など
腰痛は、症状、程度、原因などが様々であり、中には重大な疾患もあります。まずは腰の状態をよく診察し、ひとりひとりの状態に合わせた治療が大切です。