『外傷性頚部症候群』や『頚椎捻挫』などと呼ばれるもので、主に自動車やバイクでの交通事故(追突事故や衝突事故など)により発生します。
首が急激に前後や横方向に曲げられることにより起こる首の組織の損傷を『むち打ち損傷』と呼びます。
人間の頭は重く、ボーリングの球ほどの重さがあります。
この重い頭を支える首が鞭をふるような衝撃をうけて損傷します。
首の骨または軟部組織の損傷であり、多彩な症状を引き起こします。
交通事故による損傷の中でも数多く発生しており、骨折などの重傷例でなくても治り難い例も少なくありません。
症状のあらわれ方には
事故の直後から症状があらわれる方。
翌日~数日後に症状があらわれる方。
何年も症状に苦しめられている方など。
衝撃の加わり方、大きさ、体の状態などにより症状のあらわれ方に違いがあります。
筋肉や靭帯の損傷はあっても病院でのレントゲン検査では異常みつからないことも多く治療をせずに長く症状に苦しめられる方も少なくありませんので注意が必要です。
適切な治療
むち打ち損傷の治療は、手術を行わない保存療法を主体におこないます。
むち打ち損傷の治療内容や治療期間は、損傷の程度や症状、経過時期により大きく異なります。
損傷の程度や症状、経過時期にあわせて適切な治療内容を選択することが大切です。
万が一交通事故あってしまい、むち打ち症が疑われた場合は、まずはじめに首の周辺を冷やし、頚椎カラ―などで安静を保つことが重要です。
ただし、長期の安静や頚椎カラ―使用は治療期間の長期化や症状を慢性化させることがありますので注意が必要です。
初期の安静が保てないとむち打ちの治療期間に大きく影響を及ぼします。
初期の炎症が強い時期を過ぎてきたら、マッサージや運動療法、電気療法、温熱療法など筋肉の緊張をほぐし、症状を抑える治療や、関節の動きを改善させるための可動域訓練、手技療法、牽引療法などをおこないます。
病院などの医療機関では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や鎮痛剤などの薬物療法がおこなわれ、保存療法にて効果が認められず、持続的に神経症状がある場合や急速に進行する場合は手術がおこなわれることもあります。
むち打ち症の診断と治療は、患者さんの体の診察と、患者さんの症状の訴えをもとにして行います。
医療機関でのレントゲン検査やMRI検査に通常異常所見がみられないことが多いため、むち打ち症についての十分な医学的知識のある治療所にて診てもらい、適切な治療をおこなうことが必要です。